2026.08.27
Challengers ーイノベーションの軌跡ー

北電興業株式会社 #03|『「もっと」をつくる。』の浸透。北電興業に広がるブランドのダイナミズム

Sony Acceleration Platformでは、大企業の事業開発を中心に、さまざまなプロジェクトを支援しています。本連載では、新しいアイデアや技術を商品化・サービス化する企業や起業家など、現在進行形で新しい価値を創造している方々の活動をご紹介します。

北電興業株式会社(以下、北電興業)のコーポレートリブランディングプロジェクト。ブランドビジョン『「もっと」をつくる。』の誕生から新Webサイト・ブランドムービーの公開を経て、プロジェクトは新たな局面を迎えています。

▼北電興業株式会社ブランドムービー

ステートメントLP: https://www.hokudenkogyo.co.jp/statement/
採用サイト: https://www.hokudenkogyo-recruit.com/ 

今回は、形になったブランドが社内へ波及し、血肉化していくプロセスに迫ります。事務局が仕掛けた全社お披露目会での熱量や、日常ツールの刷新がもたらした従業員の意識変化。さらに、新採用サイトのインタビュー出演者として「主役」にスポットライトが当たった現場従業員のリアルな視点まで―。ブランドの公開を経て変化し始めた社内のダイナミズムと、これから目指す未来について、プロジェクト関係者の皆さまにお話を伺いました。

▼リブランディング全容はこちら
北電興業株式会社 #01|「もっと」をつくる。多様な個性を一本の線でつなぐコーポレートリブランディング
北電興業株式会社 #02|北海道の朝焼けに誓う「等身大の覚悟」。多様性を可視化、奇跡連続の制作秘話

 

 

 

 

line

全社お披露目会で会場を包んだ拍手と歓声

――Webサイトの公開に先立ち、社内でブランドのお披露目会が開催されブランドムービーが流れた際、会場から大きな拍手や歓声が沸き起こったそうですね。全社広報に馴染みが薄かったこれまでの社風を振り返り、このお披露目後の手応えや率直な心境をお聞かせいただけますか。 

小野さん:当日は会場の整理や進行側を担当していたのですが、狭い会議室にぎっしり椅子を並べながら「本当にこんなに来てくれるだろうか」と心の中では半信半疑でした。しかし蓋を開けてみると満席で、後ろには立ち見まで出る盛況ぶり。必須参加の講習などではなく、こうした明るく前向きな理由で会議室に人が集まる機会はあまりないため、それだけでも嬉しかったですね。
各職場に一生懸命案内を出してくれていた永吉(過去記事参照。今回のリブランディング施策の立役者)の努力にも皆が共感・反応してくれたのかなと感じています。
撮影当時、Sony Acceleration Platform荒木さんをはじめプロスタッフ10名ほどが社内を動いており、従業員たちもこれまでと随分違う取り組みと感じ楽しみにしてくれていたようです。

大山さん:取材や撮影に協力してくれた従業員も、自分のパートがどう繋がって完成形になるのか最後まで分からないまま参加していた部分があったと思います。お披露目会で仕上がりを見て、「自分たちの仕事がこんな風に役立っていて、素敵に表現されているのだ」と実感してもらえたのではないでしょうか。仕上がりを見た従業員からも「いい意味で北電興業らしくない、素晴らしい映像だ」という声が上がっていました。

中山さん:私は一従業員として客席でお披露目会に参加したのですが、完成した動画を見て率直に「良い会社だな」と思いましたね(笑)。今まで自社でこうした本格的な動画を作ったことがなかったので、会社が良い方向に変わってきていると素直にワクワク感がありました。

ブランドムービーお披露目会の様子

 

「手触りの変化」と広報施策がもたらしたモチベーション

――その後、グループ本社のWeb社内報への掲載やメディア露出など、外部への発信が続きました。こうした「外からの評価」が届くことで、社内メンバーのモチベーションや自社を語る姿勢に変化の兆しは見られますか。また、新ロゴが定まり、名刺・封筒やポスター、会社案内まで一斉に刷新された日常の「手触りの変化」に対する現場の反響はいかがでしょうか。

大山さん:以前は社名やロゴの表記に明確なルールがなく、各自がバラバラのフォントを使っているという課題感がありました。今回、新ロゴが定まり、名刺をはじめツールが一気に刷新されたことで、「心機一転、新しいブランドでスタートするのだ!」という意識が高まりましたね。ポスターの掲出については、本社内では人気のなくなった夜に永吉が掲示作業を行い、翌朝出勤してきた従業員が初めて見るという流れで作っていきました。各拠点にも掲出を依頼し、一斉に新ビジュアルへ変わった景色を見て、会社の変化を誰もが実感できるようになりました。他グループ会社の方からも「グループの社内報見たよ」と声をかけられるなど、社外やグループ内からの反応も届いています。

小野さん:私は以前営業所長を務めていたのですが、北電興業が何をやっている会社なのかを初見の方に説明するのは本当に難しく、もどかしい思いもしてきました。裾野が広く何でもやっている一方、本当の強みが整理できず相手に伝わり切らなかったのです。
今回、8つの事業がすっきりと整理され、洗練されたビジュアルやポスターとして目に見える形になったことで、自信を持って自社を語れる武器ができたと感じています。
それに、社内向けとしても大きかったですね。同じ会社にいても隣の部の仕事が分からないような会社でしたから、自分たちが何者なのか、ほくでんグループの中でどういう立ち位置にいるのかを理解するプロセスになりました。3年前にこのブランディングがあれば、手ぶらで自己紹介するような苦労をしなくて済んだのにと思ったくらいです(笑)。

荒木:外部の目線が入ることで、自分たちが当たり前にやっていたことの価値を再発見できたのは大きいですよね。以前は、各職種の業務イメージをどう分かりやすく伝えるかという点で試行錯誤されていたと伺っていましたが、北電興業様の「本来の姿」をまっすぐに伝えられるようになったと感じます。 私たちがお手伝いさせていただいたのはコーポレートメッセージとビジュアル開発まででしたが、そこから先は皆さんが率先して社外ツール等の整備を進められていて、本当に素晴らしいと思いました。そうした主体的な熱量が会社全体に伝わって、「会社が変わっていっている」という前向きな変化を、従業員の皆さんが感じられるようになったのではと思います。

 

「もっとをつくる人」として、現場従業員のリアルな視点

――今回、新採用サイトのリニューアルにあたり、事務局メンバーではない中山さんに顔出しインタビューの依頼が届いた際、率直にどのように思われましたか。また、出演の決め手は何だったのでしょうか。 

中山さん:最初にお話をいただいた時は、正直「いやいや、勘弁してください」と思いました(笑)。しかし、隣や目の前で事務局の永吉たちが大変な思いをしながら一生懸命プロジェクトを進めている姿をずっと見ていたので、「こんなに頑張っているみんなのためになるなら少しでも協力できれば」と思ったのが一番の決め手でした。断るという選択肢はなく、前向きな意味で断れないなと思い「イエス」と答えましたね(笑)。撮影初日の最初に今後の勢いをつけるきっかけになればと思って、腹をくくってインタビューに臨みました。

――普段は企画部として裏から全体を支える役割ですが、今回自らが「もっとをつくる人」としてスポットライトを浴びたことで、ご自身のマインドや周囲の反応に変化はありましたか。

中山さん:インタビューの中で「あなたの仕事は何ですか?」と根本的な問いを投げかけられ、普段はあまり口にしない自分の仕事の意味や価値を改めて深く考える良いきっかけになりました。普段は数字を通じて現場と経営をつなぐ役割ですが、改めて「自分の仕事は大切な仕事なのだな」と誇りを再認識できましたね。Webサイトの公開後は家族にも見せたのですが、子供たちもパソコンの画面に父親が出てきたのを見てニヤニヤしていたり(笑)、親戚の間でも話題になったりと身近なところから反応があって、少し照れくさくも嬉しかったですね。

小野さん:中山が選ばれてWebサイトに出たことで、企画部の中には「本当は自分も出たかったな」と密かに悔しがっているメンバーもいたのですよ(笑)。「表に出るなんて恥ずかしい」と控え目な社員の多い会社ですが、今回の素晴らしい出来映えを見て「自分も出られるなら出たかった」「誇らしく出られる場所になった」というポジティブな空気感が生まれてきたのを感じます。

 

世代間ワークショップの対話で、「経営の挑戦」と「現場の等身大」を編み上げる

――世代別のワークショップは、大山さんにとってどのような体験でしたか。

大山さん:北電興業は多種多様な事業を展開しているため、縦割りで、隣の部署が具体的にどんな仕事をしているのか実はよく知らなかったのです。広告部の仕事は分かっていても、隣の燃料部が何をしているのか、フロアが違う部署がどんな現場に出ているのか全く分からなかった。しかし、ワークショップを通じて8つの事業の形が見えてきて、他部門の仕事の中身や自社の本当の強みを深く知ることができました。「自社の良さをみんなで再発見していくプロセス」そのものが非常に価値ある体験になりましたね。

――ワークショップでは、経営層が求める「新たなチャレンジ」と現場が求める「等身大のリアリティ」という異なる視点がありましたが、小野さんは参加者としてこの対話をどのように受け止められていましたか。

小野さん:ワークショップに参加した際、若手従業員たちが福祉や子育て支援といった「働きやすさ・福利厚生」に対して想像以上に高い関心を持っていることに驚きました。私たちの世代には昭和の時代感覚がまだ残る一方、今の若手は男女問わず育休や制度の充実にすごく反応しており、若手との感覚の違い、彼らが職場でなかなか語らない本音を知ることができたのは大きな収穫でした。
一方で、中途採用の参加者からは「(個々人が所属してきた会社と比較し)北電興業は本当に良い会社だ」という意見もたくさん出ました。新卒生え抜きの従業員は他社を知らないので気づきにくいのですが、中途採用者の視点が入ることで「実はすごく恵まれていて、誇れる会社なのだ」と再認識できたのも、このワークショップの面白かったところですね。

 

新しい“武器”を携えて――これからの展開と『「もっと」をつくる。』決意

――採用Instagramの運用開始や新しいWebサイトなど、強力な“武器”を手にした今、現時点での感触や、今後はどのような広報・PRの仕掛けを展開していきたいと考えていますか。

小野さん:採用やPR施策においては、「何が対象に響くのか」「相手は何を求めているか」「当社は何を求めるか」を常に問い続け、一方通行にならない双方向コミュニケーションを継続することが肝要だと考えています。当社は認知度向上で採用力強化に直結させたいと思ってはいるものの、現状はまだ不十分です。社内での事業別整理を進めつつ、『「もっと」をつくる。』というコーポレートメッセージの下で企業全体をアピールすることと、個別サービス・商品の訴求という「両輪」のバランスを取りながら認知を高めていきたいですね。

荒木:3月からの採用PRのスタートに加え、2026年の創立70周年の節目に合わせてコーポレートメッセージを発信し、対外的な認知向上を図る新たな施策も動き出しましたよね。これから社外への発信がさらに広がり、北電興業様の魅力が多くの方に伝わっていくことを楽しみにしています。

▼創立70周年ロゴを添えたコーポレートメッセージ(サイネージ掲出用)

――最後に、皆さまがそれぞれの現場で実践していきたい『「もっと」をつくる。』への決意を一言ずつお願いいたします。

中山さん:現場や他部署で『「もっと」をつくる。』に向けて活発に動いているメンバーを、裏方として「もっと」支えていきたいです。

大山さん:広告部の立場としては普段から外への発信がメインですが、これからも北電興業の魅力を「もっと」外へ発信していきたいです。

小野さん:ここで働く従業員たちが「この会社に所属してよかった」「ここで仕事をしていて笑顔になれる」、そう思えるような会社や文化を、企画部の立場から「もっと」作っていきたいですね。

荒木:部署や立ち位置によって『「もっと」をつくる。』という言葉の捉え方がそれぞれ違っていて、すごく素敵ですね。裏方から全体を支え、社内を明るくしていく企画部の皆さんだからこそ生まれる視点だと思いました!

『「もっと」をつくる。』をつくる中心となった企画部メンバー

 

line

 

Sony Acceleration Platformは、新たな価値を創造し豊かで持続可能な社会を創出することを目的に2014年にソニー社内の新規事業促進プログラムとしてスタートし、2018年10月からは社外にもサービス提供を開始。ソニーが培ってきた事業開発のノウハウや経験豊富なアクセラレーターによる伴走支援により、1060件以上の支援を28業種の企業へ提供。
新規事業支援だけでなく、経営改善、事業開発、組織開発、人材開発、結合促進まで幅広い事業開発における課題解決を行ううえで、ソニーとともに課題解決に挑む「ソリューションパートナー企業」のネットワーク拡充と、それによる提供ソリューションの拡充を目指します。(※ 2026年7月末時点)

バックナンバー

Challengers ーイノベーションの軌跡ー

ランキング