Sony Acceleration Platformは、スウェーデンのルンドにも拠点があり、ヨーロッパを中心に世界の事業開発に挑戦するあらゆる企業の皆様を支援しています。
本連載「北欧に学ぶ!イノベーションレポート」では、北欧のイノベーション文化に気軽に触れていただけるよう、Sony Acceleration Platformヨーロッパ拠点のメンバーからのレポートを日本語でお届けします!
戦略や市場環境とは無関係な理由で、ビジネスが失速していることがあります 。幸いなことに、こうしたチーム内に潜む問題の多くは、着眼点さえ知っていれば特定し、解決することが可能です。
本記事では、特定の「チーム・ロール(役割)」が欠けていたり、役割が重複しすぎたりしているチームが直面する主な課題を探ります。こうした課題の解決には、英国の研究者メレディス・ベルビン博士によって提唱された「Belbin®(ベルビン)チーム・ロール・モデル」が非常に有効です。このモデルは日本ではまだ広く知られていませんが、組織運営の最適化を目指すチームにとって大きな助けとなるはずです。
チームが直面する課題
多くの場合、ビジネスの成否は優れたアイデアを持っているかどうかだけでは決まりません。その成功の大部分は、そのアイデアを実行するチームにかかっています。
チームが適切に機能していなくても、それが劇的な失敗として表面化することはまれです。多くの場合、チームの機能不全による影響は、機会損失、意思決定の遅れ、競争優位性の段階的な低下として現れます。研究では、「失敗するチーム」においては、チームダイナミクスの問題が士気に影響を与えるだけでなく、ビジネスパフォーマンスを直接的に損なうことが分かっています。
1. 全員が”ただ単に“自分の仕事をしているだけ
全員が自分の仕事をする状態―。これは表面上、悪いことのようには見えないかもしれません。チームはプロフェッショナルで調和がとれているようにでさえ見えるでしょう。しかし、急速にグローバル化する世界において、チームは批判的な意見に向き合い、代替案を検討し、果敢に挑戦し続ける必要があります。チームには調和を取る人々だけでなく、困難な決断を恐れず、リスクに立ち向かい、勇気を持ってそれを実行する人々が必要なのです。
そうでないと、いざというときに調和を最優先し大胆な決断を避ける組織ができてしまいます。これは、企業が課題解決に必要な新しい挑戦に対してリスクを鑑み、消極的になる場合によく見られます。
ビジネスへの影響:
• 不適切な投資の意思決定
• 市場変化の見逃し
• 高コストな事後方向転換
2. 部門間の「サイロ化」が会社全体の利益を阻む
「エコーチェンバー現象(※)」が、経営構造に存在する場合は危険です。財務部門が営業部門とコミュニケーションを取らない、エンジニアリング部門がマーケティング部門と密接に協力しないなど、事業部門が独立し個別最適化して運営される場合、チームや経営レベル間のコミュニケーションが崩壊し始めます。
※エコーチェンバー減少:自分たちと同じ考えや意見だけが反響(エコー)し合い、異なる視点が入ってこない閉じた空間(チェンバー)のような状態を指します。
このような状況では、個々の決定は単独で見れば合理的に見えるかもしれません。しかし、全体として見ると、組織間の競合を誘発し始めます。多くの場合、チーム内に外部環境を積極的に分析し新しいアイデアや機会を探す人、または境界を超えて人々をつなぎ、連携を推進する人がいないために起こります。共有された企業レベルの視点がなければ、チームは集団的な問題解決ではなく、内部競争へと漂流していきます。
ビジネスへの影響:
• 短期的な利益を求めた結果の長期的な損失
• 内部摩擦による業務の遅延
• 戦略の一貫性の欠如
3. 活かされていない才能
スターメンバーの揃ったチームであっても、効果的に協力し合わなければ、それはオールスターチームとは言えません。これは、多くの人が同じ役割を果たそうとしたり、重要な役割が埋められなかったり、個人のスキルと役割が適していない場合によく起こります。
その結果、外から見ると安定しているように見えても、実際には潜在能力に対して成果が出ていないチームになります。皆忙しく、会議は開催されますが、勢いは停滞します。多くの場合、これはチームメンバーの強みを知らなかったり理解していなかったり、それを活用していないことが原因です。「アイデアマン」がアイデアを示すことを奨励されていなかったり、アナリストが状況についての事実に基づく分析を共有する機会を与えられていなかったり、といった具合です。
ビジネスへの影響:
• 人員数が多いにもかかわらず実行が遅い
• ハイパフォーマー間のフラストレーションとエンゲージメントの低下
• 「影響を与えられなかった」人々の離職率の増加
上記の課題を回避するには、現在一緒に働いているチームメンバーのタイプと、どこにギャップが存在する可能性があるかを理解することが重要です。そうすることで、チームがよりシームレスに協力し合い、各自の潜在能力を最大限に引き出すことができます。
あなたのチームにBelbin®モデルを
これらの課題に対処するために、リーダーはまず自分のチームの構成を理解し、重要な役割が欠けている可能性がある場所を特定する必要があります。この認識により、チームはより効果的に協力し、機能間の摩擦を減らし、各個人の強みをより良く活用できるようになります。
しかし、どのように改善すればよいのでしょうか。
Belbin ®チームロールモデルは、英国のヘンリービジネススクールでの研究を通じて開発されました。そこでは経営チームがビジネスシミュレーションに参加し、研究はチームパフォーマンスに影響を与える明確な行動的貢献を特定しました。それ以来、このモデルは多様なチームや文化にわたって国際的に適用されてきました。ベルビンインベントリは複数の言語で利用可能ですが、現在日本語では提供されていませんが、基本原則は文化的に適応可能で広く適用できるものです。
ベルビンの研究は、10年以上にわたる集中的な研究に基づいています。大規模な観察とデータ分析を通じて、彼はチーム内で繰り返される行動パターンを特定し、それらを9つの異なる行動的役割にクラスター化しました。チームベースのビジネスシミュレーションを使用することで、彼はどのチームの組み合わせが一貫して良好なパフォーマンスを発揮し、どれが苦戦し、その理由を研究することができました。
この研究により、チーム全体を孤立した個人としてではなく、集合体として評価できる診断インベントリの開発につながりました。得られた洞察は、組織が採用、協力、対立管理を行う方法に強い影響を与えます。これはチームの文脈における行動と、他者と協力する際に個人がどのように貢献するかに焦点を当てています。
レクチャー・ワークショップのご案内
Belbin®チーム・ロール・モデルを活用して、あなたのチームの生産性や創造性を高めてみませんか? チームのニーズに合わせたパーソナライズされたレクチャーやワークショップを承っております 。
講師:Alison Francis(アリソン・フランシス) Sony Acceleration Platform ヨーロッパ シニアマネージャー。産業・組織心理学の修士号を持ち、Belbin®認定プラクティショナーとして、理論と実践を組み合わせた成果重視のワークショップを提供しています 。
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