2025.09.30
北欧に学ぶ!イノベーションレポート ~ Innovation in the Nordics’ ~

ピッチにおける5つの「思い込み」とは?

Sony Acceleration Platformは、スウェーデンのルンドにも拠点があり、ヨーロッパを中心に世界の事業開発に挑戦するあらゆる企業の皆様を支援しています。  

本連載「北欧に学ぶ!イノベーションレポート」では、北欧のイノベーション文化に気軽に触れていただけるよう、Sony Acceleration Platformヨーロッパ拠点のメンバーからのレポートを今回は、日本語でお届けします!

新しいアイデアや事業を投資家や上司に売り込む際に必須となるピッチ。ピッチが得意なのは一部の人だけだと思っていませんか?この記事では、ピッチに関する5つの「誤解」を紹介し、これらを見直すことで、よりピッチが身近になり誰もが自信をもってコミュニケーションを行える方法をお伝えします。

 

Sony Acceleration Platform ヨーロッパでは、数多くの事業開発者やスタートアップ等がアイデアを実現するためのサポートを行ってきました。これらすべてにおいて最も重要なスキルの一つが、アイデアを効果的にピッチング(提案)し、コミュニケーションする能力です。
しかし、ピッチは様々な「思い込み」に縛られることがあります。投資家に新規事業を提案する場合や社内でアイデアを共有する場合において、「優れた」コミュニケーターに対する「誤解(思い込み)」が人々の可能性を制限してしまうことがあります。

私たちの経験に基づいて、ピッチに関する5つの「思い込み」を見ていきましょう。

思い込み1:「上手にピッチするには、外交的でなければならない」

多くの人は、外交的な人だけがピッチングの場で成功できると思い込んでいます。しかし実際に、Sony Acceleration Platformが支援した最も優れたピッチをする人は、内向的なエンジニアでした。彼らのピッチスタイルは誠実で信頼性が高く、説得力を持っています。ハーバードビジネススクールの研究でも、傾聴、熟考、信頼構築が最も重要な場面では、内向的な人がしばしば優れた成果を上げることが強調されています。

思い込み2:「データは多ければ多いほど良い」

データは重要です。しかし、聞き手に数字を大量に提示することによりメッセージが弱まることがあります。私たちの経験上、統計よりもストーリーの方がはるかに聞き手の記憶に残ります。適切に選ばれたデータと人間的なストーリーを組み合わせる方が、データの羅列よりもはるかに説得力があります。

思い込み3:「アイデアが十分に強ければ、それ自体が語る」

最高のアイデアでさえも、適切な伝え方は必要です。MITスローン経営大学院のストーリーテリングに関する記事によると、内容の明確さとピッチをどのように組み立てるかの構造が、聞き手の意識に劇的な影響を与えると言われてています。どんなに革新的なアイデアでも、うまく伝えられなければ見過ごされるリスクがあるのです。

思い込み4:「自信は生まれつきのものだ」

優れたピッチをする人は生まれながらに自信を持っていると考える人が多いですが、実際には自信は「準備」と「練習」の産物であることが多いのです。私たちは、自信と情熱をどのように表現するかが、生まれ持った性格よりも重要であることを肌で体感しています。
綿密なリハーサルと適切なフィードバックによって、プレゼンの質は大幅に向上するのです。

思い込み:5「ピッチはスタートアップだけのもの」

ピッチは投資を求めるアントレプレナーと結びつけられることが多いですが、実際にはピッチは普遍的なコミュニケーションスキルの1つです。企業内では、マネージャーが経営陣にプロジェクトを提案する、エンジニアがチームにソリューションを提案する、従業員が日常業務を改善するアイデアを提案するときなどに利用されます。本質的には、ピッチとは単に「構造化された説得力のあるコミュニケーション法」なのです。

 

いかがでしたか?

ピッチは、各々の性格やプレゼンテーションスタイルではなく、聞き手に明確で共感を呼ぶ方法でアイデアを伝えることが重要なのです。これらの「思い込み」を見直すことで、誰もが今まで以上に自信を持って効果的なコミュニケーションを行うことができるでしょう。

この内容についてさらに詳しく知りたい方は、Sony Acceleration Platformまでお気軽にお問い合わせください。 

Sony Acceleration Platformは、新たな価値を創造し豊かで持続可能な社会を創出することを目的に2014年にソニー社内の新規事業促進プログラムとしてスタートし、2018年10月からは社外にもサービス提供を開始。ソニーが培ってきた事業開発のノウハウや経験豊富なアクセラレーターによる伴走支援により、910件以上の支援を27業種の企業へ提供。
新規事業支援だけでなく、経営改善、事業開発、組織開発、人材開発、結合促進まで幅広い事業開発における課題解決を行ううえで、ソニーとともに課題解決に挑む「ソリューションパートナー企業」のネットワーク拡充と、それによる提供ソリューションの拡充を目指します。(※ 2025年8月末時点)

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