こんにちは!Sony Acceleration Platform公式サイトの新人編集担当ルルです。
この連載では、新人編集担当が、さまざまなモノ・コトを見たり体験したりする中で発見した”新しさ”や、実際に面白いと感じたことを読者の皆さまに共有します。
今回のテーマは、Sony Acceleration Platformが支援するソニー・グローバルエデュケーションが開発した、小学生向けの学習アプリ 「LOGIQ LABO®(ロジックラボ)」を使ってミタ!です。
■ロジックラボとは?
突然ですが、問題です。ぜひ少し答えを考えてみてください。

…いかがでしょうか?すんなりと答えは出ました?正解は、ロボットCです。(まず、ロボットAが本当のことを言っている場合は、ロボットAは正常でロボットBは故障している。故障しているのは2台という前提があるため、ロボットCは故障していると判断できる。一方、ロボットAが故障していて逆のことを言っている場合は、Bは故障していない。そのためCが故障していることになる。結果、絶対に故障しているのはCという結果となる)
こうした情報読解力を問う問題は、大人の皆さんも小学生の時に取り組んだのではないでしょうか。
AI時代のいま、これまで以上に「考える力」が求められています。
そこで開発されたのが、小学生向けの学習アプリ「ロジックラボ」です。さきほどご紹介した従来型の問題演習だけでなく、生成AIやプログラミングなど最新テクノロジーを通じて、子どもたちの「考える力」を育みます。
昨年には、第21回 日本e-Learning大賞「経済産業大臣賞」も受賞 するなど、年々注目度が高まっています!
■作った人に話を聞いてミタ

池長 慶彦(いけなが よしひこ)さん
株式会社ソニー・グローバルエデュケーション 未来教育事業部 統括部長
ロジックラボ プロダクトマネージャー
2007年にソニー株式会社に入社後、R&D部門、ソニーコンピュータサイエンス研究所を経て、2015年よりソニー・グローバルエデュケーションに創業メンバーとして参画。4児の父としての実体験を基に、学習アプリ「ロジックラボ」を立ち上げる。その功績が認められ「Sony Outstanding Engineer Award 2024」 を受賞
■すべての始まりは、一人の父親としての悩みから
―― まず、ロジックラボ開発のきっかけを教えてください。
池長さん: 実は、このサービスは私自身の父親としてのリアルな悩みから始まっています。現在4人の子どもを育てているのですが、長男が小学校3年生の頃、少し複雑な問題になるとすぐに諦めてしまったり、そもそも勉強へのやる気自体が見られなかったりと、学習面での壁にぶつかりました。共働きということもあり、じっくり勉強を見てあげる時間も限られていて…。
市販のドリルやタブレット教材も色々と試したのですが、なかなか「これだ」というものに出会えませんでした。ドリルは子どもに合うものを見つけるのが大変で、丸つけも追いつかない。タブレット教材はゲーム要素が強すぎて、本当に学習効果があるのか疑問に感じることもありました。「良いソリューションがないなら、自分で作ってしまおう」。それが、ロジックラボ開発の出発点です。ソニーのエンジニアとして、そして一人の父親として、本当に価値のある教育サービスを届けたいという強い想いがありました。
―― 「考える力」を育むことをサービスの中心に据えられていますが、なぜ今、それが重要だとお考えですか?
池長さん: テクノロジーが急速に進化する現代において、「今の時代にあった最適な学びとは何か?」を突き詰めた結果です。AIが多くの仕事を代替すると言われる未来を子どもたちが生き抜くためには、単に知識を覚えるだけでは不十分です。私自身、エンジニアとしてテクノロジーの進化の最前線に身を置いてきたからこそ痛感していることで、実際に10年前は主流だったプログラミング言語が今も同じように使われているとは限りません。特定の知識やスキルの価値は、時代の変化とともに移ろいやすい。だからこそ、どんな時代でも変わらず価値を持つ“本質的な力”を育むことが重要になります。
そこで私たちが着目したのが、「テクノロジーを使いこなす理数脳」、すなわち「考える力」です。ロジックラボでは、この力をさらに2つに分解しています。一つは、物事を筋道立てて考える論理的思考力。もう一つは、正解のない問いに自分なりの答えを見出す創造的思考力です。
AIを効果的に使うためには、人間が論理的に指示を出す必要がありますし、AIにはできない「何のためにやるのか」という目的を定義するためには、創造力が必要不可欠になります。これらの力は、近年の受験で重視される傾向にあるだけでなく、社会に出てからも一生役立つ、まさに“生きる力”の土台となると考えています。

■AI時代に求められる「考える力」を育む2つのアプローチ
―― ロジックラボでは、具体的にどのようにして「考える力」を育むのでしょうか?
池長さん: 論理的思考力と創造的思考力をバランスよく育むために、探究教材と理数教材という2つの柱を用意しています。
探究教材は、子どもたちの「やってみたい」「創ってみたい」という気持ちや創造力を最大限に引き出すためのものです。例えば「絵本をつくろう」というコンテンツでは、AIアシスタントとの対話を通じて物語のテーマを深掘りし、世界に一つだけのオリジナル絵本を創り上げます。例えば、「最近あった出来事を教えてくれる?」というAIの問いかけに、子どもが「夜更かししてゲームをしていたら怒られた」と答えるとします。AIは「お父さんはなんで怒ったのかな?」と対話を促し、子ども自身の言葉を引き出しながら、「規則正しい睡眠の大切さ」というテーマを見つけ出します。AIが提案する物語の叩き台に、子どもたちがアイデアを加え、AIがその物語にぴったりのイラストを瞬時に描いてくれる。こうして、世界に一つだけの絵本が完成します。AIが文章の叩き台やイラストの生成を手伝ってくれるので、子どもたちは物語作りの最も創造的な部分に集中できます。サービス開始から約1年半で、すでに8万5,000以上ものユニークな作品が生まれています。


―― 理数教材についても詳しく教えてください。
池長さん: 理数教材は、論理的思考力の基礎を徹底的に鍛えるためのもので、50,000問以上の多彩な問題を収録しています。ただ量をこなすのではなく、「情報読解力」「計算力」「空間認識力」「探索力」という4つの力をバランスよく伸ばせるよう設計しています。
例えば「探索力」を養う問題では、チェスの動きでコマを指定された箇所まで移動させるパズルがあります。何度も試行錯誤する中で、子どもたちは自然と粘り強さやルールの本質を見抜く力を身につけていきます。
ここで特筆すべきは、AIがお子さん一人ひとりの正答率や解答時間をリアルタイムで分析し、常に少しだけ難しいけれど、頑張れば解けるという絶妙な難易度の問題を出題し続ける点です。これにより、子どもは飽きることなく、自らの成長を実感しながら学習に没頭できるのです。

■子どもたちが夢中で取り組めるための工夫
―― それだけ質の高い教材を開発し続けるのは大変なことだと思います。特にこだわっている点は何ですか?
池長さん: 面白い問題を作ること、これに尽きます。子どもたちが「考えたい!」と心の底から思えるような、知的好奇心をくすぐる問題設計を常に追求しています。
そして、何を隠そう、ロジックラボの一番のユーザーであり、最高のテスターは、我が家の4人の子どもたちなんです。新しいコンテンツができると、まず彼らに試してもらう。どこで目を輝かせ、どこでつまずくのか。そのリアルな反応をすぐ側で観察し、開発チームにフィードバックする。このサイクルが、ロジックラボのクオリティを支える上で欠かせません。時には子どもから「パパ、ここ、バグ見つけたよ!」なんて厳しい指摘を受けることも日常茶飯事です。
また、今でもユーザーからの問い合わせ対応の一部は私自身が行っています。お客様が何に困り、何を求めているのか、その生の声に勝る情報はないからです。
こうしたユーザーに寄り添う姿勢に加え、AI技術を駆使して良質な問題を効率的に生成する仕組みや、子どもたちが安全にAIとの対話を楽しめるようにするための技術的な工夫が高く評価され、Sony Outstanding Engineer Award 2024※ を受賞することができました。
※Sony Outstanding Engineer Award:ソニーグループにおけるエンジニア個人に与えられる最も価値の高い賞。チャレンジングな課題に積極的に挑み、大きな価値創造を成し遂げたエンジニアが受賞対象。

―― 今後の展望や、保護者・子どもたちへのメッセージがあればお願いします。
池長さん: 今後はAIをさらに活用して、まるで優秀な家庭教師が常に隣にいてくれるかのような、一人ひとりに完全に最適化された学習体験を実現したいと考えています。子どもがつまずいた瞬間に「どこが分からないの?」とAIが問いかけ、対話を通じて解決に導いてくれる。保護者向けアプリと連携し、「この中学校に合格したい」という目標に対して、AIが最適な学習カリキュラムを自動で生成してくれる。そんな世界観を目指しています。正直なところ、私の構想からすれば、今のロジックラボは、まだやりたいことの半分もできていないんです。
また、保護者の皆さまにお伝えしたいのは、お子さんのモチベーションを最大限に引き出してあげてほしい、ということです。私たちは、子どもたちが自ら「考えたい」と思える環境を用意しました。保護者の皆様には、お子さんの「できた!」という瞬間をたくさん見つけて、たくさん褒めて、応援してあげてほしいのです。そのポジティブなフィードバックが、子どもたちが「考えることは楽しい」と感じる何よりの原動力になります。その積み重ねが、子どもたちが自らの力で未来を切り拓いていく大きな自信につながると信じています。
ロジックラボが、その一助となれれば、開発者として、そして一人の父親として、これほど嬉しいことはありません。「覚える」から「考える」へ。ぜひ、ロジックラボで新しい学びの扉を開いてみてください!

ロジックラボの公式サイトはこちら
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