今日から始まった新連載「事業のつくりかた 8ステップ」。
事業を創る道筋を8つのステップに分けて解説していく本連載では、忙しい方でも短時間でエッセンスを理解できるよう要点を凝縮してご紹介しております。
この8つのステップをよりリアルに学んでいただくため、ある学生たちがゼロからビジネスを立ち上げるまでの奮闘記を同時公開します!
主人公は、大学生のナオ。 アイデアの種を見つけ、仲間とぶつかり合いながら事業を形にしていく中で、彼らが何を考え、どう壁を乗り越えていくのか。ぜひ物語の主人公になったつもりで、ビジネスが立ち上がるワクワク感と手触り感を追体験してください。
■Step1:アイデア発想 ~おばあちゃんを悩ませる忘れ物 なくすにはどうすれば?~
―物語に登場する人々―

青空が広がる日曜日の朝。
ナオは、父親の運転する車で高速道路を走っていました。2人が向かっているのは、隣の県に住むおばあちゃんの家です。おばあちゃんは数年前に夫であるおじいちゃんを亡くし、今はひとり暮らしをしています。
「おはよう!」
玄関ドアを開けてくれたおばあちゃんに、ナオは笑顔で挨拶しました。おばあちゃんも、
「いらっしゃい。ナオちゃん、久しぶりね」
そう言って笑顔で迎えてくれました。でも、心なしか元気がありません。
「母さん、どうかしたの? なんだか鼻声みたいだけど……」
ナオの父親も同じように感じたのか、廊下を歩きながらおばあちゃんに聞きました。
「うん、ちょっと風邪気味でね。それに、私、ナオちゃんに謝らなくちゃいけないことがあるの……。あなたがくれた傘を失くしてしまったのよ」
おばあちゃんは申し訳なさそうな顔で言うと、続けてこんな話をしました。