2026.08.26

「Sony Open Innovation Day 2026」開催レポート

2026年7月29日(水)に、「Beyond the boundaries 人とアイデアが重なり合う1日。ここから社会に新しい感動を。」をコンセプトに、イノベーション創出に向けたヒントや組織を超えたつながりを提供するイベント「Sony Open Innovation Day 2026」を開催しました。事業開発やオープンイノベーションに関心を持つあらゆる皆さまにご参加いただきました。

 

本記事では、実際にどのようなイベントになったのか、ゲストによるトークセッションの内容や展示ブースの様子をまとめてご紹介します。

「Sony Open Innovation Day 2026」ダイジェスト動画

まずは、約2分半ダイジェスト動画で、会場の雰囲気をご覧ください。

 

参加された皆さまの声(一部抜粋)

・一見畑違いの登壇者それぞれのテーマが自然な形で「イノベーション」と結びつき、理解しやすかったです。
・講演は、とてもアトラクティブなものが多かった。グローバル、ミュージック、エンターテインメント、スポーツなどさまざまな分野のスピーカーを集めたのは、ソニーの底力だと思った。
・スピーカーのお話はどれも興味深く大変参考になった。知的好奇心を醸成させるものがあったと思います。
・成功に結び付く独自の視点や哲学が興味深く聴けて、さまざまな発見があった。
・それぞれの特徴・得意分野に閉じるのではなく、他社/他者と一緒になることで、相乗効果が生まれ、より可能性が広がっていく・・というのを断片的かもしれないが、目の当たりにすることが出来た。
・出展者が良い意味で平凡でなく尖った領域を持ち、スタートアップとの協業や支援に非常に前向きでした。
・異分野の方との交流を通じて、とても良い刺激とアイデアをもらえました。
・展示ブースでは、質問にも丁寧に答えていただき、個別にコンタクトが取れ、協業の話ができました。

 

各セッションのポイントまとめ

全登壇者のトーク内容をそれぞれ3つのポイントにまとめてお伝えします!

Opening Speech

小田島 伸至(ソニーグループ株式会社 Business Acceleration and Collaboration部門 部門長 / Sony Acceleration Platform 責任者)

気候変動や社会の分断といった地球規模の複雑な課題に対し、単一の企業や組織だけで解決策を導き出すことの限界を指摘し、異なる業界が境界を越えて共創することの必要性を語りました。イノベーションの本質は人であり、ビジョンを描く創造力・周囲を巻き込む越境力・困難を乗り越える突破力を備えた挑戦者を育成・支援することこそが豊かな社会の実現につながるとして、Sony Acceleration Platformの取り組みと実績を紹介しました。

<セッション聴講者の声(一部抜粋)>
・直近の新規事業創出領域に関しまして、最新かつトップランナーであるソニーの取り組みから新たな学びをもらえました。
・ソニーがオープンイノベーションに高い価値を見出していることがよくわかった。

「Global Innovation Strategy 2.0」とオープンイノベーション

宮坂 学 氏(東京都副知事)

東京都副知事の宮坂氏は、東京を世界屈指のイノベーション都市にするため、起業数や協業数の10倍増を掲げる大胆なスタートアップ戦略を語りました。特に、行政自らがスタートアップのファーストカスタマー(最初の顧客)となって直接製品やサービスを調達する官民協業を徹底した結果、調達実績は47倍に急増した成果を強調しました。有楽町のTokyo Innovation Base(TIB)での支援や、国際都市型イベント「SusHi Tech Tokyo」の開催を通じて、異なる背景の人々が偶然出会い、熱量高く交わる場を提供し続ける重要性を語りました。

<セッション聴講者の声(一部抜粋)>
・スタートアップを志向する方々の背中を押すきっかけになったのではと感じた。

氷上の境界を越えて — 世界で挑戦し続けるために必要なこと

髙木 美帆 氏(元スピードスケート日本代表)

かつて「突出した強みがない」ことに悩んでいた時期を振り返り、全種目の平均値を極限まで引き上げる「オールラウンダー」としての戦い方を確立したプロセスを語りました。ソチ五輪落選の挫折から「現状維持は退化である」と学び、北京五輪後には組織や国境を越えて海外の指導者や選手を自ら巻き込む「インターナショナルチーム」を立ち上げた経験を紹介しました。言葉や環境が違っても、相手をリスペクトして「人と人とのエネルギーを交換」していく姿勢の大切さを語り、どのような結果であっても後悔しない強い覚悟を持って挑み続けることの意義を伝えました。

<セッション聴講者の声(一部抜粋)>
・新規事業に取り組み始めて3年目、様々な仮説検証を行ってきたが正直、思い悩み止まっていた時期があった。高木美保さんの「停滞は後退」はとてもピンときました。
・スーパースターの競技に対する姿勢、ポリシー、背景が良くわかりました。知識を広げる(人と人のつながり)ことを改めて感じた。
・アスリートとAIについて、あまり意識してなかったが関係していることを実際の話で聞けた。

日本のガラパゴス的な音楽戦略 ― ボカロPとソニーの音楽プロデューサーを掛け持ちして見えたこと

山崎 幾生 氏(株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント Echoes / ボカロP・音楽プロデューサー)

ボカロやTikTokといった、それぞれ独自の文化を持つ大衆的な競争社会(島)に身を置いて個性を磨き、さらにファンを多く抱えるハブに向けて楽曲を輸出していく構造の有効性を分析しました。実家のクローゼットで活動していたナトリ(natori)の『Overdose』が世界的ヒット(ストリーミング累計6億回再生)を記録した事例を挙げ、グローバル戦略の本質とは海外の流行に寄せることではなく、徹底的に尖った「ガラパゴス的な独自文化」を磨き上げることで「海外から人を呼び寄せる」ことにあると指摘しました。

<セッション聴講者の声(一部抜粋)>
・生きるためにもがきながら道を見つけられたところに強く共感しました。
・社会認知のためには個性を磨くことが必要ということなどの話が興味深かった。
・自分のやるべきこと、やりたいことが心から本当にそう思えているのかを確認し、そうであれば極限まで考え抜き、結果が出るまで実践し続けること、自分の置かれている競争環境を冷静に見つめ、勝ち戦略をしっかり立てていくことの重要性を学んだ。

テクノロジーで境界を越える:大学・企業・社会の連携で仕獲ける北欧発のイノベーション

Johnny Högberg 氏(CEO, Stiftelsen Flemingsberg Science / Chairman, Press Start Game Tech Hub)
Jay Dekleva (Innovation Manager, Sony Europe B.V. / Sony Acceleration Platform Europe)

北欧のトリプルヘリックス(産学官連携)モデルの強みについて、大学や総合病院、ゲーム開発ハブが物理的に1つの屋根の下に集い、ゲーム技術を医療や物流といった異分野に転用するクロスイノベーションの実態を紹介しました。北欧の真の強みは市場規模ではなく社会的な信頼関係にあるとし、早期から関係者を迅速に集めて「素早く失敗し、軌道修正するサイクルを回すこと、そして固定観念を捨てることこそが、世界へ通用する事業を創り出すポイントであると強調しました。

<セッション聴講者の声(一部抜粋)>
・「グローバル化とは海外に行くことではなく、海外から来てもらうこと」ということを学んだ。

マッチング理論が解き明かす、オープンイノベーション成功の設計図

小島 武仁 氏(東京大学大学院経済学研究科 教授 / 東京大学マーケットデザインセンター長)

人と組織を最適に組み合わせる「マッチング理論」と「マーケットデザイン(制度設計)」の社会実装例を紹介しました。具体例として挙げた部署配属制度の改革では、自分の本当の希望を誠実に伝えることが最も得になる対戦略性のアルゴリズムを導入し、新入社員の満足度向上と人事の調整コスト削減を両立させた実績を解説しました。また、転職市場において生成AIを活用した履歴書作成支援の共同研究にも言及し、AIによる表現の同質化が個人の情報量を減少させ、かえって面接のミスマッチを増大させたり、形骸化した応募を急増させたりする重い副作用を警告しました。その上で、ABテストなどを用いて副作用を含めた評価を厳密に行い、データに基づいた持続可能なマッチング制度を構築する重要性を説きました。

<セッション聴講者の声(一部抜粋)>
・業務マッチングやチームビルディングのやり方等私自身の業務や組織運営に多いに参考になりました。
・小島先生の推奨される人事制度が個人的にとても興味深かったため、社内の人事担当にも見てもらいたいと思いました。

クリエイティブとビジネスを繋ぐ、越境と独創の仕事術

佐久間 宣行 氏(テレビプロデューサー・演出家)

激変する環境下で成果を挙げ続けるには、自分だけの独自の個性である「原液」を早期に確立し、届ける対象に合わせてマーケティング(割材)を変える手法が極めて有効であると強調しました。また、組織の中で自身の自由を守る防衛策として「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」を先手で徹底する重要性を語ったほか、チーム運営においては「試すより頼る」を掲げ、世代や価値観の分断を前提としつつ、各メンバーに期待する役割を言葉を尽くして明確に伝えることが、組織の潜在能力を引き出すマネジメントの極意であると語りました。

<セッション聴講者の声(一部抜粋)>
・佐久間Pのお話が大変参考になりました。もっと若いころに聞きたかったです。若い世代にとっても良い指針になったのではないかと思います。
・とってもとっても楽しかったです。時間があっという間に過ぎてしまいました。
・年代の垣根を受け入れ分断と表現されて、うまく1つのチームにすることで大きな力を生み出す、私たちが避けて通れない部分で納得するものがありました。
・人間味あふれ共感できる講演でした。

The Wave of Global Tech & key trends to watch

Chua Kee Lock 氏(Vertex Holdings Group President / CEO, Vertex Ventures Japan 投資委員会議長)

AIは一過性のブームではなく、エネルギー需要の急増、量子コンピューティングの進化、ヒューマノイドロボットのコスト削減、サイバーセキュリティの攻防といった様々な先端技術の発展を連鎖的に加速させている実態を解説しました。また、米国主導の閉鎖的なモデル開発に対し、中国勢がオープンソースのアルゴリズムモデルで対抗している構造を紹介しました。チュア氏は、日本企業のAI導入率(約58%)が中国企業の97%に比べて極めて低い現状に危機感を示し、過度な期待と実態を見極めながら、この変革の波へ今すぐ乗るべきだと提言しました。

<セッション聴講者の声(一部抜粋)>
・世界のトップランナーであるChua Kee Lock氏の意見を直接聞けたことは、社内での事業領域拡大という狭い範囲で物事を考えていたことに気付かされる良い機会となった。
・AIの影響や人手・IT人材・パートナー不足、経済・地政学・社会問題などの影響やリスク、日本の強みとグローバル市場で戦うための視点や秘訣など、変革が必要な時期・時代に相応しい、貴重なご講演でした。

 

展示ブース・ネットワーキング

展示ブースエリアでは、ソニーグループの新規事業やイノベーション支援基盤をはじめ、最先端のAI・知財データ解析、XR・メタバースを活用したAIエンタメ、さらには北欧やシンガポールなどグローバルな支援機関や自動車技術を医療転用した事例まで、全21プロジェクト・企業が出展しました。

<出展一覧> ※敬称略
IMPACT STARTUP SUMMIT 2026/一般社団法人インパクトスタートアップ協会
高精度エンタープライズ AIエージェントプラットフォーム/ELGO AI Pte. Ltd.
イー・トゥエンティ・セブン/オプティマティック・プライベート・リミテッド(シンガポール)
神去月のけもの/cretica universal / jig.jp.
NUS Enterprise/シンガポール国立大学
ウェアラブルエアバッグ「あすほ」/株式会社ダイセル
XR Innovation Lab(DNP)/大日本印刷株式会社 コンテンツ・XRコミュニケーション本部
XR BOX MINI/DTC株式会社
ノルディックイノベーションハウス東京/ノルディックイノベーションハウス東京
PatSnap Eureka/Patsnap合同会社(シンガポール)
AITuberを用いたプロモーション/株式会社Pictoria.
メタバース参入支援/株式会社V.
AI活用のための一次データ解析基盤 “Primary Data Foundation”/株式会社芳和システムデザイン
ようかいむら × AIアニメーション/株式会社MagicHolic.
IDOL RUNWAY COLLECTION Supported by TGC. / IRC APP/株式会社YOAKE entertainment.
トイオ・プレイグラウンド コマンド/株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
Sony Bank GATE/ソニー銀行株式会社
REON POCKET/ソニーサーモテクノロジー株式会社
Echoes/株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント
Sony Acceleration Platform/ソニーグループ株式会社 Business Acceleration and Collaboration部門
Boundary Spanning Service/ソニーグループ株式会社 Business Acceleration and Collaboration部門

本文に掲載しきれなかった会場の様子については、是非下部のギャラリーをご覧ください!

Sony Acceleration Platformは、新たな価値を創造し豊かで持続可能な社会を創出することを目的に2014年にソニー社内の新規事業促進プログラムとしてスタートし、2018年10月からは社外にもサービス提供を開始。ソニーが培ってきた事業開発のノウハウや経験豊富なアクセラレーターによる伴走支援により、1060件以上の支援を28業種の企業へ提供。
新規事業支援だけでなく、経営改善、事業開発、組織開発、人材開発、結合促進まで幅広い事業開発における課題解決を行ううえで、ソニーとともに課題解決に挑む「ソリューションパートナー企業」のネットワーク拡充と、それによる提供ソリューションの拡充を目指します。(※ 2026年7月末時点)

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